復興支援助成金

朝市や買物支援などを通じて、
被災者の自立を応援
相馬はらがま朝市クラブ

Focus46

当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「相馬はらがま朝市クラブ」の髙橋永真理事長に、活動を始めたきっかけやこれまでの活動内容、今後の抱負などについて聞きました。

東日本大震災の被災地・被災者への復興支援活動を開始した理由、きっかけを教えてください。

震災前、私は水産加工会社を経営していました。震災直後は、津波にのまれた会社や自宅の瓦礫の中から使えそうな物を探し出す毎日でした。しかし、原発の問題が日々深刻な状況となり、やっていることが無意味に思え、何をすべきなのかがわからなくなっていきました。このままでは自分がだめになると危機感を抱き、とにかく何かしなければと考え、同じ境遇の仲間を集めて始めたのが「相馬はらがま朝市」でした。将来に不安を覚え、また無気力になった被災者を元気づけるため、仲間と一緒に今でも開催しています。

これまでどんな活動をされてきたのですか。

主な活動は、6つあります。一つ目は、先ほど申し上げた「朝市」。現在は、「そうま復興マルシェ」と呼んでいますが、土日を1セットとして130回以上開催し、市民のコミュニティー形成をサポートしています。
二つ目は、「リヤカー海援隊」。障がい者や買物弱者への支援と、孤独死を防止するために日々全戸を個別訪問することを目的にしたものです。相馬市内約1,500戸の仮設住宅を対象に、被災者を雇用して実施。最も多い時期には、32名が参加しました。
三つ目は、「報徳庵」。小田原市から資材を提供頂き、仮設店舗内に支援者と被災者が集えるスペースを開設。現在はさまざまなイベントの場として活用されています。
四つ目は、「復興支援センターMIRAI」。被災者の相談を受けたり、水を安価に提供したり、朝市ほかのイベントの企画作りや、新たな事業開発の支援の場として使用されています。
五つ目は、「朝市第一加工場」。震災前の相馬市は魚介類の水揚げ高が約50億円あり、関連して水産加工業が展開されていました。しかし、原発問題で水揚げが規制され、ほぼ壊滅状態。相馬市は魚の食文化が強く、消費量も多いので、全国から原料を仕入れ、技術を取り入れて、新たな商材と雇用を生むため開設しました。
六つ目は、「そうま未来づくりミーティング」。相馬市だけではなく、南相馬市や新地町の若い世代たちと共に今後のビジョンを語り合い、皆で新しい相双地域、新しい福島を創り出す協議体として活動しています。
そのほか、支援物資の配布から始まり、事業開発や人材育成など、被災者の自立を応援することを主な活動としています。

ご苦労されたのはどんな点ですか。被災者の言葉など、印象に残っていることは?

震災当初は物資が集まらず、全員へ配布することができませんでした。そのため、物資が本当に必要な人に行きわたらず、残念なことにトラブルも発生しました。
震災から1年以上経ってからの配布では、ややもするともらうのが当たり前のようになり、被災者に感謝の気持ちが薄れたように感じます。少ししか物資を配布できなかったときに、「これだけ?」と言われたこともありました。
助成金や補償金が出て、何もしなくてもお金が入るので、やる気が少ない人が増えていると感じるのは残念なことです。

今後の活動予定や抱負を聞かせてください。自分たちの活動を通じて、被災地や被災者へ、どんな“希望”を与えたいとお考えですか。

私たちは支援団体ではなく、自立を応援する団体だと思っています。今後は、普通の日本人として日々努力して働くことで普通の生活ができる、そのための基盤を相馬に創っていくことを目指します。次世代の人たちにとって生きがいのある、希望を持ってがんばろうと思える、そんな町に相馬と福島をしていきたいと思っています。

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