復興支援助成金

被災地の外国人を応援
笑顔のお手伝い

Focus08

当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「笑顔のお手伝い」の長野髙士事務局長に、活動を始めたきっかけやこれまでの活動内容、今後の抱負などについて聞きました。

東日本大震災の被災地・被災者への復興活動を開始した理由、きっかけを教えてください。

代表を務める千葉義信は旅行会社で働いていた経験を活かし、震災前から滞在ビザの問題など、外国人の生活相談をしていました。「笑顔のお手伝い」は2010年にNPO法人として設立されましたが、私はその頃から千葉と一緒に活動しています。
震災後、キリスト教のある団体から「宮城県の外国人の安否確認をしてほしい」という依頼がありました。初めは外国人居住者が多い地域から調査を開始しましたが、そこには被災された方はほとんどいませんでした。しかし、沿岸部の調査を進めるに従い、被災された方が大勢いることが分かってきました。石巻では、市の協力もあり外国人被災者のアンケート調査を実施しました。南三陸町では行政自体が被災していたため、仮設住宅の自治会長に協力していただき、仮設住宅を1軒1軒回って調査を行うとともに、協力団体から頂いた支援物資を届けました。気仙沼ではこの夏ようやくアンケート調査が終わり、これから分析をするところです。

これまで他にはどんな活動をされてきたのですか。

日本に滞在する外国人は、離婚や家庭内暴力、子どもの学校問題、健康、貧困など、生活の上での悩みをたくさん抱えている方が少なくありません。日本の制度の中で彼女らを支援するには限界があると感じるときもあります。
被災地では、ますます困窮している外国人が増えています。例えば石巻では、被災された外国人を市役所に招き、通訳を交えて生活相談に応じました。余裕を見てお一人の持ち時間を2時間としたのですが、それでも話し足りないくらい数多くの悩みを抱えている方がほとんどでした。南三陸では最初は、困っているにもかかわらず、遠慮されてなかなか本音を話してもらえませんでした。フィリピンから移住して30年以上になる方に協力いただけるようになってからは、悩みを聞くことができるようになりました。
「笑顔のお手伝い」では、アンケート調査の結果を受け、外国人に安定した生活を維持してもらおうと、仕事に就くための手伝いをすることにしました。日本で就職するには、まずは履歴書を日本語で書かなくてはなりません。そこで、日本語教室を2012年5月から南三陸に開設しました。日本語ということではなく、地元の言葉を習得してもらおうということで“ケセン語教室”と呼んでいます。履歴書を書くにはワープロの技術も必要。そこで今年からは、NPO法人パソコンママネットの協力を得て、パソコンサロンを開設しました。南三陸の教室には、子どもたちも一緒に通ってきます。また、介護資格を持った外国人の実践の場としてデイ・ハウスを開設し、地元の高齢者に利用してもらうことを始めています。
石巻では先行して昨年から介護教室を行い、年末からの猛特訓で、今年4月に5名がホームヘルパー2級の資格を取得しました。今年からは、日本語教室と就労支援としてホームヘルパー講座、パソコン講座を始めています。

ご苦労されたのはどんな点ですか。

外国人と一口に言っても、日本に対する見方はさまざま。感謝してくれる人もいれば、当たり前と受け止める人もいます。こうした違いを持っている人たちをまとめていくのはなかなか大変です。
震災後、日本人と結婚されていたフィリピンの方のご遺体が見つかりました。身寄りがなく、私たちとフィリピンコミュニティの仲間たちが国元に問い合わせ、身元確認をして埋葬することになりましたが手続きが大変でした。

活動を通じて、特に印象に残っていることは?

仮設住宅から出る機会が少ない高齢者も数多くいらっしゃいます。南三陸町のデイ・ハウスを利用された方から、「外に出られただけでうれしかった。毎日でも開いてほしい」と感謝された時には、活動していて良かったと思いました。

今後の活動予定や抱負を聞かせてください。自分たちの活動を通じて、被災地や被災者へ、どんな“希望”を与えたいとお考えですか。

私たちの仕事は、日本に滞在している外国人の自立した生活を応援すること。活動していると、新たな課題が浮上し、なかなか心から満足することが少ないのが実感です。
介護ヘルパー講座を通じて感じているのは、彼女らほど介護の仕事に向いている人たちはいないのではないかということです。高齢者を温かい目で見て、嫌がられる仕事も率先してやってくれますし、何よりも我慢強い。外国人だからといって拒絶するのではなく、まずは仕事ぶりを見て偏見をなくしてほしいと思います。外国人が介護老人保健施設で活躍するモデルケースを、被災地から発信していきたいですね。

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