復興支援助成金

人と人のつながりのある、
人間味のある社会を目指して
日本カーシェアリング協会

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当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「日本カーシェアリング協会」の吉澤武彦代表理事に、活動を始めたきっかけやこれまでの活動内容、今後の抱負などについて聞きました。

東日本大震災の被災地・被災者への復興活動を開始した理由、きっかけを教えてください。

震災があった年の4月上旬、阪神・淡路大震災を経験した知人から、「しばらくすると仮設住宅が建設され、自治会が形成される。カーシェアリングの準備をしておくべき」との提案をもらいました。その時は、カーシェアリング自体知らず、初めて経験する活動でしたが、車を失った方々が大勢いらっしゃる被災地ではニーズが高いだろうと思い、チャレンジしてみることにしました。車を集めるところから開始。現在は約60台の車の提供を受けていますが、当初は四季報を見ながら、上場企業に手当たり次第に当たっても反応が鈍く、5月の段階では2台のみ。しかも1台は車検切れの車でした。その後、6月に仮設住宅への入居が始まったのですが、アンケートを実施してカーシェアリングに関心のある人を探しました。そして利用者同士で使い方などを話し合い、運営ルールをつくっていきました。

具体的にこれまでどんな活動をされてきたのですか。

現在の会員数は230名くらい。車は約60台保有し、およそ50カ所で利用可能です。石巻からスタートし、要望に応えて、気仙沼、女川、一関でも展開し始めています。主に個人利用が多く、仮設住宅から病院への送迎などにも使われています。
私たちの活動は、いろいろな方々を巻き込みながら運営してきました。例えば各自治会と協力し送迎ボランティアを募集しました。手を挙げてくれた人が自主的に地域の送迎をカーシェアリングの車を使って行っています。震災をきっかけに多くの方々が石巻を訪れ、地元の方々はたくさんの支援を受けました。落ち着いてくると、自分たちも何かできることをやりたい、支援する側に回りたいと気持ちの変化があったんですね。
アルパカをモチーフにしたキャラクター“Su:tonスートン(石)“に“Ro:lyローリー(巻)“とロゴマークは東京学芸大学の学生が作ってくれました。車のメンテナンスは私の出身地である姫路の整備の専門学校(日本工科専門学校)や、仙台の整備専門学校(赤門自動車大学校)、地元の整備工場、石巻専修大学の機械科の学生が担当してくれてました。今は、公益社団法人を目指して申請手続きをしていますが、これも卒業論文のテーマの一つとして石巻専修大学の学生が取り組んでくれています。大変ありがたいことです。

ご苦労されているのは、どんな点ですか。

一番は人手不足。60台以上の車を1台1台管理するのは思った以上に手間暇がかかりました。保険の切り替え、車検手続きといった事務的なことから、利用者の相談に乗ることや新しく会員を希望する人への説明会、行政との折衝や手続き、自動車関係の業者との交渉、事務局運営のための資金集め、広報、会計など仕事は尽きません。現在は常勤2名とパート5名で運営しています。会計入力は石巻専修大学の学生が、運行データの入力はボランティアの方々手伝ってくれているので大変助かっています。
この8月に三菱自動車から6台の電気自動車を貸与いただきました。とてもありがたいことです。かわいいオリジナルキャラクターでラッピングされた『i-MiEV』が被災地を走ることで、電気自動車への興味が広がり、車のPRになれば少しは恩返しができるのではと思っています。

これまでの活動で、特に印象に残っていることは?

昨年の暮れの忘年会である利用者が、「いつか復興住宅団地ができたら、電気自動車でカーシェアリングをしたい」と夢を語られました。被災された方に、“夢”を持ってもらえたことが何よりもうれしく感じました。そしてこの夏にはもう電気自動車を貸与いただくことが実現しました。夢の実現に向け、1歩前進できたと感じます。

今後の活動予定や抱負を聞かせてください。自分たちの活動を通じて、被災地や被災者へ、どんな“希望”を与えたいとお考えですか。

震災から3年目に入り、外から被災地に来た人が全面的に支援するフェーズは終了した気がしています。これからは地域社会でお互いに助け合うことが必要。ですから重要なのは、地域コミュニティーの再生です。カーシェアリングは移動支援ではありますが、お互いに見守り助け合っていくことで、コミュニティー形成に役に立っています。
あと3年くらいは石巻で事業として継続できる仕組みをつくっていきたい。被災者同士の助け合いを応援する形で活動を継続し、将来的には地元の事業者が、地域貢献のためにスポンサーとなり、事業の運営をサポートして、地域の助け合いの仕組みを事業化していけると良いと考えています。カーシェアリングの活動を通じてつくっていきたいのは、人間味のある社会。人と人のつながりのある、文化度の高い社会をつくる手伝いができればと思っています。

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